テニスをあまりご存じない方でも、グランドスラムというのがあって、テニスの世界では最も重要な大会であることくらいはご存じでしょう。その大会は毎年、4回あって、年の初めからいうと、1月の全豪オープン、5月末の全仏オープン、7月の全英オープン、8月末の全米オープンです。ここでは、各々の大会の特徴やその楽しみ方や視聴方法などをわかりやすく解説します。
目次
(1)グランドスラムとは
テニスの大会はいろいろなレベルの大会がたくさんありますが、世界のテニス大会の頂点に立つのが、グランドスラムといわれる年4回の大会です。其々の大会は、別々の歴史がありますが、皆たいへん古い歴史と素晴らしい優勝選手を輩出しています。
全豪オープンの特徴
他の4大大会と大きく違うのは、南半球での大会だということです。季節が全く逆になりますから、調整が難しいところがあります。
オーストリア出身の有名な優勝者としては、男子はロッド・レーバー、ケン・ローズウォール、女子はマーガレット・スミス・コート、イボンヌ・グーラゴング・コーリーなどがいます。
開催地
オーストラリア、メルボルンのメルボルン・パークで行われます。
開催時期
2017年は、日程:1月16日~1月29日(現地時間)でした。
コートの特徴
メルボルン・パークには、ロッド・レーバー・アリーナ、ハイセンス・アリーナ、マーガレット・コート・アリーナの3つの開閉式の屋根付きスタジアムを含む26面のコートがあります。ここで、全豪オープンは争われます。
コートはハードコートで、セメントやアスファルトの上に、化学樹脂をコーティングしたものです。このハードコートの特徴は、バウンドが安定していているので、サーブ、リターン、ストロークと全ての動作に選手のもつ技術がうまく発揮でき、プレーしやすいことです。
2017年大会の賞金額
2017年の優勝者は、男女共に、370万豪ドル、準優勝者は、185万豪ドルでした。
その他の特徴
新しいシーズンの初めてのグランドスラムになります。
この大会は熱中症対策として「エクストリーム・ヒート・ポリシー」(EHP, Extreme Heat Policy)と呼ばれる独自ルールが導入されています。外気温が35度を上回った際に、主審が試合開始時間を遅らせることが出来ます。条件を満たした場合、3つの開閉式屋根付スタジアムに関しては、屋根を閉めて試合が行われます。
全仏オープンの特徴
赤土のクレーコートの覇者を決める大会で、ここではナダル選手が圧倒的に強く、本年で10回目の優勝をしました。高速サーブが勝敗を決めることの多い最近のテニスの中で、クレーコートではサーブのスピードが落ちますので、ここではショットの打ち合いの多いテニスらしい試合が数多く見られます。
開催地
フランス、パリのローラン・ギャロスで行われる大会です。
開催時期
2017年は、5月28日~6月11日(現地時間)でした。
コートの特徴
クレーコートのため、球足が遅く、それだけにショットの打ち合いが多く、トップスピンの正確なショットを打てる選手に有利なコートです。
2017年大会の賞金額
2017年の優勝者は、男女共に、210万ユーロ、準優勝者は、106万ユーロでした。
その他の特徴
ナダルに最も有利なコートと言われますが、ショットの打ち合いが多く、最もテニスらしい試合の見られるグランドスラムです。以前は、意外なヒーローが生まれることの多い大会でした。特に、クレーコートに強いスペイン系や中南米系の選手が有利な大会でもあります。
全英オープン(ウィンブルドン)の特徴
全英オープンはグランドスラムの中でも最も権威のある大会で、他の3つの大会とは少し別格にあります。多くの選手は、ここに憧れ、ここで優勝することを夢見て、腕を磨いています。サーブが速いことと芝のためにボールがあまりバウンドしない特徴があります。そのため、高速サーブの選手とサーブアンドボレーの選手に有利です。
開催地
イギリス、ロンドンのオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブを会場に行われます。
開催時期
2017年は、7月3日~7月16日(現地時間)でした。
コートの特徴
グラスコートで、昔は芝のコートは多かったですが、最近では維持もたいへんでグランドスラムでは、ここだけになりました。
2017年大会の賞金額
2017年の優勝者は、男女共に、220万ポンド、準優勝者は、110万ポンドでした。
その他の特徴
高速サーブの選手が有利で、今年もベスト4に残った選手は、フェデラー選手を除いては、高速サーブの選手でした。錦織選手がここでだけ良い結果を残せないのは、高速サーブを持っていないことと弾まないコートが彼のライジングショットに不利に働くからなのでしょう。
また、この大会では白い色のユニホームの着用が義務付けられており、何となくクラシックのテニスという雰囲気があります。
全米オープンの特徴
ハードコートのグランドスラムですが、必ずしも高速サーブの選手が勝つとは限らないグランドスラムで、本当の意味のオールラウンドプレーヤーが優勝する確率が高い大会のような気がします。その意味では最も面白いグランドスラムといって良いでしょう。観客数も賞金もグランドスラムの中で最も多いと言われています。
開催地
アメリカ、ニューヨークのフラッシング・メドウズ・コロナ・パークのナショナルテニスセンターで行われます。
開催時期
2017年は、8月28日~9月10日(現地時間)の予定です。
コートの特徴
ハードコートで球足は、芝より遅く、クレーより早いです。バウンドは、クレーよりも弾みます。
2016年大会の賞金額
2016年の優勝者は、男女共に、350万ドルでした。2017年の賞金はまだ発表されていません。
その他の特徴
錦織選手が最も良い結果を残しているグランドスラムで、球足がはやいこととボールが弾むことが有利に働くのだと思います。怪我が完全に治っていれば、今年は期待できるかもしれません。
普通、グランドスラムでは2-2の後の最終セットはタイブレークにはなりませんが、全米オープンだけは、最終セットもタイブレークで決まります。合理的なアメリカ人の気質を示しているようです。
(2)グランドスラムの出場選手の決まり方
まず、ATPランキングということを知らなければなりません。
男子テニスプレーヤーのランキングは、ATPポイント制度というので決まります。例えば、グランドスラム大会で優勝すれば2000ポイントが獲得できます。また、ATP1000大会が9試合ありますが、これで優勝すると1000ポイントが獲得できます。準優勝者は優勝者の半分強のポイントが得られ、ベスト4は、優勝者の1/4強のポイントが得られます。ATP1000の下に、ATP500とATP250がそれぞれあります。
こうして合計したポイントの順にランキングが決まります。このポイントの有効期間は、1年間で次の同じ大会が始まるまでです。
このようにして決まったATPランキングで104位くらいまでが、本戦出場資格があります。また、グランドスラムの前に本戦に出場できない選手同士で予選が行われ、ベスト16までの選手が本戦に出られます。このほかに主催者推薦枠というのが8名ほどあり、合計で128名が本戦に出場します。推薦枠では、怪我から復活した元有力選手や自国の期待の若手などの推薦の場合が多いです。
(3)グランドスラム観戦を楽しむポイント
テニスの試合は、どのような場合でも両者の実力が拮抗している時が一番面白いものです。グランドスラムの場合は、ATPでトップの選手から100位くらいまでの選手が出るので、1回戦の組み合わせは、両者の実力が離れていて面白くない試合も多いです。そのような中でも推薦枠で、かつての強い選手とランクが高い選手との試合は期待できます。また、全仏オープンでは、クレーのスペシャリストが多く出ていて、クレーしか出ていないためにATPランクは高くはないですが、実力者も多いです。特にスペイン系や中南米系の選手はこの傾向が強いです。ウィンブルドンでは、サーブが速い選手が有利なので、そのような選手に注目しましょう。全米オープンでは、錦織選手が良い成績をあげやすいコートなので、注目しましょう。
現地観戦の場合
現地観戦の場合は、テニス観戦用のツアーで行くのが初心者は良いと思います。現地での当日券は、最近では手に入りにくいと聞いています。上級者は、ATPやWTAであれば、下の公式HPからチケットは直接買えるようです。試してみて下さい。
Official Site of the 2017 US Open Tennis Championships – A USTA Event
ネット、テレビ観戦の場合
ネットやテレビでテニスの試合を観戦するのは、日本ではまだ完全には整備がされておらず、なかなか大変です。グランドスラム4大会は、WOWOWがほぼ独占状態で放送していますので、良い試合はほとんど見られると思います。ネットでは、最近、スポナビがテニス観戦に力を入れているので、だんだん良くなってくると思います。グランドスラム以外のATP1000、ATP500などの準決勝以降の試合はGAORAで見られることが多いです。今年からは、スポナビライブでもいろいろと見られるようになってきました。
(4)グランドスラムを楽しむならスポナビライブやWOWOWがおすすめ
スポナビライブとは(全豪オープンを放送)
ソフトバンクがやっているスポーツ番組のネット配信システム。特にテニスでは、今年は全豪オープンと各種ATP1000、500、250の配信があります。料金も1000円前後で、ヘビーユザーはかなりお得感があるようです。
WOWOWとは(全豪・全仏・全英・全米オープン)
これは、BS放送で有料です。ライブと映画とプライムと3チャンネルが視聴できる。テニスについては、グランドスラムは、すべて配信されており、面白い組み合わせの試合はほとんど見られるます。面白い試合が重なった場合は、あとでライブではないが配信してくれる場合が多いです。月額2300円で、グランドスラムはほどんど見られるので、テニスが好きな人には、随分お得感があるのではないかと思います。もちろん、テニスがないときには、面白いシネマも多く見られます。