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テニス全米オープンで注目すべき10人の選手まとめ

全米オープンは、毎年、アメリカのニューヨークで行われます。全米オープンは、ハードコートでの世界一を決める場所で、グランドスラム大会の中では、最も面白い大会です。また、錦織圭に向いているハードコートで、グランドスラムの中では、彼が最も良い結果を残している大会です。

ここでは、2017年の全米オープンで注目すべき10選手を選び出して、その各々の選手の長所や短所などをまとめてみようと思います。ここで言う注目すべき10選手とは、別な言い方をすれば優勝する可能性が高い10選手ということになります。これは必ずしもATPランキングの上から10人というほど単純な選択ではありません。伸び盛りの選手もいれば、体力的に限界が見えてきた選手などもいて、実際にはかなり複雑な選択になります。

まず、初めの10人の中に4強は、必ず入るでしょう。ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、アンディ・マレー(イギリス)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の4人です。この4人は、それぞれが、他の時代ならば必ずATPランキングで長い間トップの地位を占めることのできる選手たちばかりです。皆それぞれタイプは違いますが、これほど強い選手達が同じ時代に生きたようなことは、これまでありませんでした。それだけに今の男子テニス界は面白く、目が離せません。

次に挙げなければならないのは、スタン・ワウリンカ(スイス)でしょう。ウィンブルドンでは、怪我で途中退場していますが、全米オープンまでには復帰できるでしょう。

次に挙げられるのは、錦織圭を含めた中堅の選手、ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)、ドミニク・ティエム(オーストリア)の3人です。

あとは、ビッグサーバーでストロークも安定している、マリン・チリッチ(クロアチア)、フアン・マルティン・デル・ポトロ(アルゼンチン)の2人。そのほかに、若手で台頭の著しいアレキサンダー・ズベレフ(ドイツ)が挙げられます。

全部で11人になってしまいましたが、この中から今回はデル・ポトロを除くことにします。デル・ポトロは本当に良い選手ですが、ウィンブルドンでの敗戦はどこかに問題があるのかもしれません。

1.ロジャー・フェデラー(スイス)

フェデラーは史上最強のオールラウンドプレーヤーといっていいでしょう。4強の中の他の3人は、彼を目標として強くなってきました。その点でも本当に素晴らしい存在です。また、昨年から半年間の休養中に、彼の唯一の弱点であったバックハンドトップスピンボールに磨きがかかり、今ではこれが大きな武器と変わりました。バックハンドを起点とした攻撃が加わり、現在この幅広い攻撃を防げる選手はいないでしょう。

2.ラファエル・ナダル(スペイン)

ナダルもフェデラーと同じように昨年の全仏オープン途中棄権からツアーを離れ、手首のリハビリに努めました。今年の全豪オープンから復帰して見事な復活劇を果たしました。特に、バックショットとボレーの向上が目立ちます。全仏オープンでのナダルは凄かったです。クレーコートはほんとうに彼のトップスピンに合ったコートなのでしょう。クレーでのフェデラーとナダルの試合を見てみたいですが、今後フェデラーはクレーコートの試合には出ないと宣言したので、永久に見られなくなりました。本当に残念です。

3.アンディ・マレー(イギリス)

マレーの今年の全豪オープンからの成績はあまり良くなく、理由はいまいちはっきりしません。足を怪我しているのではないかと思っています。それでも、全仏オープンでのワウリンカとの戦いは素晴らしかったです。今年のウィンブルドンではベスト8に残っているので、やはり優勝候補の一角でしょう。マレーの良さは、デフェンスの粘り強さとバックハンドショットやボレーの正確性でしょう。

4.ノバク・ジョコビッチ(セルビア)

ジョコビッチもマレーと同じように今年は調子があまり良くありません。巷では、昨年全仏オープンでグランドスラムを達成し、目標を失ったバーンアウト症候群だとか。コーチをボリス・ベッカーからアンドレ・アガシに変えて復活に燃えています。年齢からくる体力的な衰えなのかもしれず、アガシをコーチに迎え入れたのは良かったかもしれません。ジョコビッチの強さは、予測の良さからくるデフェンスの強さとフォアもバックも体の軸がぶれない安定した正確なショットでしょう。

5.スタン・ワウリンカ(スイス)

ワウリンカは現在、4強に続く最も強いプレーヤーですが、グランドスラム以外では割とあっさり負けることも多く、予想の難しい選手です。グランドスラムの大会では、いつも素晴らしい実績をあげています。特にスタミナがあり、5セットマッチの方が得意なのかもしれません。長年、フェデラーのヒッティングパートナーを務めていただけのことはあり、優れたオールラウンドプレーヤーで、なかなか穴の少ない選手で、特にバックハンドショットは、世界一でしょう。

6.ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)

次に中堅の3人ですが、ラオニッチは出始めはサーブが強いだけの選手でしたが、今ではグランドストロークもうまくなり、とくにフォアハンドショットは強烈です。かれは、足も長いのでベースラインの端から端まで3歩くらいで飛んで行くような感じで、コートカバーリングがたいへん良いです。

7.錦織 圭(日本)

錦織圭は、テニス界にショットのスピード革命を持ち込んだ最初の選手です。ライジングを打つ彼のショットの速さは現在でもテニス界では最高ではないでしょうか。彼の場合は、アジア人特有の体力的な弱さをどれだけ克服できるかが、大きな課題です。筋トレ、フォアハンドショットもバックハンドショットもストレートの正確性の向上が緊急の課題です。

8.ドミニク・ティエム(オーストリア)

ティエムは、順調に成長していると思います。今年は、ナダルやジョコビッチに勝ったりして、全仏オープンでも決勝にまで行きました。サーブやフォアハンドショットが良いですが、バックハンドショットは更に素晴らしく、ワウリンカのバックハンドショットと双璧です。ただ、相手から得点を取れる手段が少ないような気がします。

9.マリン・チリッチ(クロアチア)

チリッチもグランドスラムではいつも良いところまで行ける選手になってきましたが、サーブ以外で相手から得点を取る手段が少ないような気がします。そのため長い試合になることが多く、体力的に大きな損失をしています。

10.アレキサンダー・ズベレフ(ドイツ)

最後になりましたが、若手のホープとしてA・ズベレフを挙げておきたいと思います。彼はまだ20歳ですが、グランドストローク、ボレー、サーブ、スマッシュなど、ほとんどのショットの完成度が高いです。特にグランドストロークのショットは、見た目よりもボールが伸びているようです。ボールを捉えるタイミングが良いのでしょう。ラオニッチや錦織やティエムがまだ取ったことのないATP1000大会で、今年あっさり優勝しています。末恐ろしい選手になることを多くのテニスファンは期待していることでしょう。

ABOUT ME
横森慶信(ヨコモリ ヨシノブ)
横森慶信(ヨコモリ ヨシノブ)
38年間大学の先生をして、2016年3月に定年退職しました。専門は、自然科学ですが、自然科学全般に関心があります。引退後は、自然科学者の目で見た、テニスプレーヤーの分析、農業、エネルギーと森と食糧の関係、放射性セシウムの最終貯蔵について興味があり、執筆活動をしています。現在、自然農法を基礎とした「鷺野自然農園」園長。