テニスツアーの中でも最上位に位置する四大大会「グランドスラム」のうち、すでに3つを制しているスタン・ワウリンカ。
パワフルなストロークと大舞台に強いメンタリティを兼ね備えた男子テニスでも屈指の強豪選手ですが、ケガにより2017年の残りシーズン全てを欠場する運びとなりました。
トップ選手の長期休養が相次ぐ2017年終盤ですが、ワウリンカの欠場原因と復帰時期について、現時点で明らかになっている情報をまとめることにします。
目次
ワウリンカの長期欠場原因について
2017年8月5日、自身のフェイスブックにてワウリンカは以下のコメントを残しています。
「残念な報告をしなければならない。チーム、そしてドクターと話し合った結果、膝の手術を受けるという難しい決断を下した。今後もトップレベルで何年もプレーを続けるためには、これが唯一の解決方法だったんだ」
とのことで、手術のために長期休養せざるを得ない状況であったと分かります。
ちなみに上記コメント発表の10日後である8月15日には、自身のTwitterで「手術の成功」と「2018年の復帰を目指す旨」のコメントも発しました。
実は手術した膝に関しては2017年全体を通して悩まされており、ウィンブルドンでは初戦敗退、その他マスターズなどでも思うように勝ち上がれていなかったワウリンカ。
元々好不調の波が非常に大きな選手であるとはいえ、やはり今年に限っては膝の影響が大きかったのでしょうか。
少なくとも、プレーを続けながら膝のケアを行っていく従来のスタイルでは厳しいと判断したのでしょう。
長期休養を余儀なくされる手術という決断は、本人はもちろん陣営としても非常に難しい判断だったでしょうが、手術が成功し前向きな姿勢を見せているワウリンカのコメントを見る限りは、ポジティブに受け止めて良さそうです。
長期休養の一因にはフェデラーも関係?
ノバク・ジョコビッチ、錦織圭、ワウリンカと、トップ10選手が次々と長期休養に入った2017年は、例年までと異なる流れを個人的には感じています。
要するに、「苦渋の決断として長期休養を行っている訳ではない」ようにも思えるのです。
背景にあるのは昨年から今年にかけてのロジャー・フェデラーの一件。
ある意味「常識を覆した」その一件と、今年終盤にトッププレイヤーたちが続々と長期離脱を決めたのは無関係ではないかもしれません。
長期休養に関するこれまでの見方
当然これまでにもトッププレイヤーが長期休養に入る例はありました。
ケガが理由であればそれもやむなしですし、テニス界全体で考えれば幾人もの選手が毎年長期離脱しているのも事実です。
しかし、こうもトッププレイヤーが続々と長期休養という大胆な選択を下す現状に関しては、単なる偶然と決めつける訳にもいきません。
ジョコビッチにしろ、錦織にしろ、ワウリンカにしろ。長期休養ではなく、プレーを続けながらケガの治癒も並行していくプランは少なからず存在していた可能性がありますからね。
というのも、これまでトッププレイヤーが長期休養した際、再び同じレベルやランキングに戻ってくるのは困難な場合が多く見られました。
例えば、自他共に認める次世代のナンバーワン候補として、過去に全米オープンを制した経験もあるファン・マルティン・デル・ポトロでさえ、ケガから復帰して1年以上経ってもトップ20以内にすらランキングを戻せませんでした。
長期休養で変貌を遂げたフェデラー
どちらかと言えばネガティブな印象が強かったトッププレイヤーの長期休養ですが、昨年、2002年10月以来トップ10に居座り続けたテニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラーが半年にも渡る長期休養を実施します。
当時35歳だったフェデラーは休養以前からその強さに陰りが見えていたこともあり、休養発表後は「フェデラーももう終わり」とまで各所でささやかれたほどでした。
ところが2017年、長期休養から復活したフェデラーはまるで蘇ったかのような強さを見せ、復帰直後の全豪オープン、更にはウインブルドンと、グランドスラム2大会の制覇をはじめとする圧倒的な強さを見せたのです。
※2017年9月18日現在、ランキングも2位まで上昇。
この復活劇はおそらくテニス界全体に衝撃を与えたに違いありません。
メディアやファンだけでなく、プレーヤー達にも長期休養が「吉」と出る可能性を大いに見出させた出来事だったことでしょう。
こうしたフェデラーの一件もあり、「長期休養=マイナスではない」との考えのもとに、ワウリンカを始めとしたトップ選手達は続々と今年の長期休養に踏み切ったのかもしれません。
ワウリンカの復帰時期は?早くて2018年シーズン開幕にも登場か
既に2018年の復帰に向けて意欲を見せているワウリンカですが、2018年シーズンのスタートと同時程度の復帰も十分に予想されます。
全豪オープン前哨戦である「ブリスベン国際」(1月第1週)。
もしくは「全豪オープン」(1月第3週)での復帰に間に合えばベストでしょう。
というもの、そもそも全豪オープンはワウリンカが自身初のグランドスラム制覇を果たした大会であり、それ以外にも2度ベスト4を記録している相性の良い大会。
前哨戦であるブリスベン国際で試合勘とコンディションを整え、満を持して全豪オープンに挑むのが理想の筋書きだと予想されるからです。
8月中旬に手術はすでに成功していることもありますので、手術箇所の治癒とリハビリ、更にトレーニングに要する時間を4か月弱と見込めば不可能とも言い切れません。
少なくとも2018年初頭に復帰できるのであれば、本人としてもいきなり5セットマッチのグランドスラムで復帰するよりかは、前哨戦で感覚を掴んでおきたいところでしょう。
※グランドスラム以外の大会は3セットマッチ
今後、ワウリンカ陣営から復帰時期に関する情報が発表されるかは不明ですが、引き続き見守りたいと思います。
おわりに
下位選手にあっけなく負けたかと思えば、かたや翌週には無敵の強さを誇るほどの「異常に高い上限値」がワウリンカの大きな魅力。
これまでにも何度も番狂わせを起こしてきたダークホース的な存在として、今後も男子テニスを盛り上げ続けて欲しいものです。
彼のテニスを2017年はもう見られないのは確かに残念ですが、復帰してまた本来の強さを取り戻した姿に今は期待を膨らませるとしましょう。
長期休養が吉と出るか凶と出るか?
これまた、テニスというスポーツの面白さでもあるはずです。